手話言語条例の制定が相次ぎ、手話通訳の需要が高まっています。
各分野で活躍する手話通訳者にインタビューし、その魅力を探ります。
新元号の発表会見の際、手話通訳者を目にしませんでしたか。気象庁の緊急記者会見でも、手話通訳をつける試行が始まりました。
日本手話を言語として認め、ろう者とろう者以外の者が共生できる社会を目指すことを主旨にした「手話言語条例」を制定した自治体の数は、2018年からの1年間で倍増しました。いま、手話通訳者が強く求められています。
手話通訳は、聴覚障害という障害を持った人たちを支援する、福祉の目的だけのものではありません。聞こえない人と聞こえる人をつないで両者にとって利益をもたらすための仕事です。
手話はどんなことばなのか、手話通訳者になるにはどんな方法があるのか、どんな場面で必要とされるのかを紹介します。
さらに、教育、医療、スポーツや国際会議、手話のニュースキャスターなど、さまざまな分野で活躍する第一線の手話通訳者たちの声を通して、手話、そして手話通訳の魅力をお届けします。
手話の例文を動画で見ることができるQRコード付き。
目次
第1章 手話の世界へようこそ
手話はだれが使うことばなのか
日本手話と日本語対応手話
手話の文字
ろう文化=日本手話話者がつくる文化
日本手話の「音」
「手話=手の動きがすべて」か
手話の語順
手話に特徴的な表現 CL
第2章 手話通訳者の役割
手話通訳とは
学び方と資格
手話通訳者の働き方
いつ手話通訳者が必要とされるのか
第3章 インタビュー 手話通訳の魅力
コミュニティ通訳/江原こう平さん
教育通訳/荒井美香さん
医療通訳/江木洋子さん・矢野智子さん
司法通訳/齋藤真佐美さん
[コラム]芸術文化にアプローチする仕事?舞台手話通訳
スポーツ通訳/長松郁弥さん
[コラム]デフリンピックとは
[対談]放送通訳/小野広祐さん × 野口岳史さん
ろう通訳/川上恵さん
電話リレーサービス通訳/根間隆行さん
災害と通訳/宮澤典子さん
手話通訳者のキャリアデザイン/中嶋直子さん
国際会議通訳/高木真知子さん
[コラム]世界の手話通訳事情
これから手話を学びたい人のために
おわりに
著書紹介
■木村晴美(きむら・はるみ)
一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。現在、国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官、NHK手話ニュース845キャスター。主な著書に『[改訂新版]初めての手話――初歩からやさしく学べる手話の本』、『日本手話と日本語対応手話(手指日本語)――間にある「深い谷」』、『ろう者の世界――続・日本手話とろう文化』、『日本手話とろう文化――ろう者はストレンジャー』(以上、生活書院)など。
■岡典栄(おか・のりえ)
東京大学文学部言語学科、国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科卒業、英国ケンブリッジ大学言語学修士(M.Phil.)、一橋大学大学院言語社会研究科博士(Ph.D.)。現在、明晴学園国際部長、手話通訳士。著書に『日本手話のしくみ――文法が基礎からわかる』、『日本手話のしくみ練習帳』(以上共著、大修館書店)。
*略歴は刊行時のものです
●著者/木村晴美 岡典栄
●出版社/ 白水社
●ページ数/176p